<チームを形成(役割分担を実施)する目的>
病院全体を統括する「せん妄対策チーム」を新たに設置し、各病棟からせん妄患者やせん妄リスク患者に対するケアの依頼を受け、適切な予防や初期介入を行うことで、患者のQOLの向上や入院期間の短縮のみでなく、患者家族の心理的、身体的な苦痛を軽減する。また、病棟スタッフの業務負担、心理的ストレス等を軽減する。
<チーム(役割分担)によって得られる効果>
- 術後患者の、せん妄の発症率低下、重症化の予防が期待される。
- せん妄の原因となる身体精神的因子や環境因子の除去により、必要な治療の継続が可能となる。
- 病棟スタッフや主治医の心理的ストレスを軽減する。
- 患者、家族の身体的精神的ストレス、苦痛を軽減する。
<関係する職種とチーム(役割分担)における役割・仕事内容>
- 主治医:
- 認知症の有無、全身状態アセスメントなど、せん妄発症のリスクの評価。
せん妄が可逆的か不可逆かをアセスメント。可逆的であればせん妄の誘因の除去。必要最低限の点滴やドレーンの選択をする。家族への説明を行い、せん妄発生時の対応、対策についてチーム間で話しあう。せん妄に対する薬剤調整についてせん妄対策チームに相談し、向精神薬の投与を検討する。 - 緩和ケア医、精神科医(チーム医師):
- 医師や看護師と情報交換し、せん妄の診断やアセスメントなどを協働して行う。また向精神薬の調整を行う。
- 看護師:
- 緩和ケア認定看護師が中心になり、事前スクリーニング等による予防的介入と早期発見。発症時の状況や対応などチームでの情報共有、薬剤の効果、日常生活の評価、環境調整。家族の精神的ストレスへの対応を行う。安全管理室とも情報共有し相談する。
- 薬剤師:
- 処方内容や薬物効果の評価
<チーム(役割分担)の運営に関する特記事項>
- 主治医、看護師が中心となり、入院時にせん妄スクリーニングを実施し、ハイリスク患者についてせん妄チームにコンサルトを行う。また、実際にせん妄をおこしている症例についてもコンサルトを行う。
- チームによるせん妄対策計画の立案、実施、評価する。
- 月2回チームカンファレンスを開催し、情報共有する。
- 安全対策委員会などの転倒転落防止対策などと協働して、情報共有を行う。
<評価指標(事業成果等の分析)>
せん妄の発症率や重症化率の低下。患者、家族、医療者の満足度調査。