<教育プログラムの目的・効果>
ここ数年、全国的に放射線治療関連の医療事故が多発し、放射線治療の潜在的危険性と放射線治療の安全管理体制を確立する必要性が認知され始めた。医療事故防止はもちろんのこと、患者に対して良質の放射線治療を提供するためには、装置や放射線量のquality controlを実施する職種の養成が必要である。また、高精度な放射線治療として、陽子線治療、定位放射線治療、強度変調放射線治療など、特殊な放射線治療も注目される中で、物理工学の専門的知識を有する人材の養成も極めて重要である。これらの業務を担当する職種として、医学物理士があげられるが、全国的にもその養成が遅れている。医学物理士の資格を有するには、認定試験に合格するだけでなく、臨床経験が求められる。これまで、物理工学出身の優秀な人材が試験に合格したものの、臨床経験がなく、医学物理士の認定を受けられない例も数多くある。認定を受けるためには2年の臨床経験が必要なため、2年間無報酬で臨床経験を積んでいる例もある。今回のGPにおいて、医学物理士の認定試験に合格した人材を対象としたレジデント制度である「医学物理士レジデント制度」が実現すれば国内初の試みである。
<教育プログラムの履修方法及び修了要件>
以下の20単位の取得を修了要件とする
- 講義:ハイブリッドeラーニング(対面講義とeラーニングを併用)により5単位
- 実習:実地研修(on the job training: OJT)により10単位
- その他:症例カンファレンスへの参加と研修会への参加により5単位
履修期間:2年間
<教育プログラムの指導体制>
- 教育素材:当大学はこれまで大学院教育の中で医学物理分野で活躍する人材を育成してきた実績がある。講義および実習テキスト、eラーニングのコンテンツなど、本GPに必要な教育素材は十分に揃っている。
- 実習設備:一昨年の装置更新により、最新型の放射線治療装置が設置された。また、当施設は、ハイパーサーミア、密封小線源治療装置などの他施設にはあまり設置されていない装置も有している。さらに、全国数施設にしか設置されていない陽子線治療装置も有している。
- 指導者数:医学物理グループ(医学物理の実務)、放射線腫瘍科グループ(医師)、放射線生物グループ(研究)を合わせて15名を超える教員により指導を行う。
<教育プログラムの運営に関する特記事項>
放射線治療部門では、多職種によるカンファレンスが毎日実施されている。このカンファレンスへの参加は、チーム医療を学ぶ上で極めて重要であると考える。また、医師が行っている放射線治療計画、診療放射線技師が行う照射業務、医学物理士が行っている品質管理業務などへの参加は、実務経験という意味で重要である。医学物理グループ、放射線腫瘍科グループ、放射線生物グループでは、単独および合同で定期的に研究勉強会を行っている。カンファレンスへの参加、実務、さらには、研究勉強会への参加を組み合わせることにより、「チーム医療・実務・研究」一体型のプログラムになる。
<教育プログラムの新規登録者数等の目標人数>
年間2名
<評価指標(事業成果等の分析)>
- 資格取得者の数
- 資格維持者数